公的年金のうち、老齢年金は65歳前の特別支給の部分を除いて、今のところ本来の支給は65歳からになっていますが、超高齢化社会や平均寿命の伸びを受けて、前には受給開始年齢を68歳にしようという議論がありました。
最近では、年金は75歳からなんていう話もメディアで取り上げられるようになりました。
でも、実はこれは繰り下げ受給の話のようです。この繰り下げ支給の上限年齢を70歳から75歳まで引き上げようと検討しているということらしいです。
年金の繰下げ支給とは、本来の65歳からの受給を遅らせる制度です。
反対に、65歳前に年金を早めてもらう制度は繰り上げ受給といいます。
現在は66歳から70歳までの希望のされた年齢まで、厚生年金と基礎年金を合わせて、または別々に繰り下げることができます。月に0.7%ずつの増額率ですので、最大70歳まで据え置いた場合は、65歳時に比べて142%に増えた年金をもらうことができるのです。
ただし、繰り下げ待機中は、年金がもらえません。
この繰り下げ受給をした場合の生涯受給額の損益分岐点は、大体82歳ぐらいのようです。
65歳前の特別支給の老齢厚生年金を受給されている人には65歳の誕生月に、はがき形式の請求書が送られていきます。
下のほうに、繰り下げ支給を希望する場合に、○印を付けて下さいという記入欄があるので、ここに○印をつけて返送すれば、繰り下げ待機中となり、年金の支払いが止まります。
途中で申し出ると、65歳に遡って、増額されない本来の年金額を受け取ることも可能です。
繰り下げ支給は、ほかに遺族年金や障害年金の受給権がある方は、使えません。
また、在職老齢年金で停止になっているような場合は、停止にならない部分が増額の対象になります。
もし、繰り下げ待機中に亡くなってしまわれたような場合は、未支給年金の対象となるご遺族に65歳からその時までの本来の年金が支払われるようになっています。
以前は、100人のお客様がいれば、繰り下げ希望は、そのうち1人ぐらいだったようですが、最近では100人のうち、2人ぐらい出てきているそうです。
ただ繰り下げ待機中は、加給年金・振替加算も出ませんので、加給年金のつく方は基礎年金のみ、振替加算のつく方は厚生年金のみ繰り下げするという方法もあります。
いろいろな選択肢を考える長生きの時代となりました。