妻が年金をもらったら夫の年金額が下がった!?

年金相談をしていると、以前はこんな相談が結構ありました。

妻が年金をもらい始めたら、私の年金額が減りました。

これは、夫についていた加給年金が支給停止になってしまったことによるものです。

加給年金

もともと、年金は夫婦単位で考えられていたため、加給年金はそもそも扶養手当のような制度になっています。

今どきは、結婚したら専業主婦という方は珍しくなりましたが、昔は、夫が外で働き、妻は家庭を守り、夫が妻を扶養するという形態が一般的でした。

厚生年金・共済年金は20年(240月)以上かけると、十分な期間があり、金額的にも立派な?年金になるという考え方のようです。

老齢年金の申請手続きをする場合に、三点セットなどと年金事務所では言っていますが、戸籍謄本、世帯全員の住民票、配偶者の所得を証明する所得証明書などを持ってきてほしいと言われるのは、この加給年金や振替加算の要件を確認するためです。

なかには、俺の年金を申請するのに、なんで妻の収入の証明まで必要なんだと聞かれる方もいますが、年収が850万円(所得だと655.5万円)以上あると扶養の必要性がないものとして、加給年金や振替加算の対象になりません。

20年以上の厚生年金の期間がある人が老齢厚生年金の受給権を取得したときに、その人によって生計を維持されていた、配偶者(夫または妻)、18歳の年度末までの子があれば、特別支給の老齢厚生年金(65歳前)の定額部分が支払われるとき、または65歳になり原則支給の老齢厚生年金を受給するときに、加給年金がつきます。

今年の配偶者に係る加給年金の金額は昭和18年4月2日生まれ以降の人は、特別加算額を合わせて年額で389,800円です。

ただし、相手方の配偶者が20年以上の厚生年金(共済組合の加入も含む)の加入期間があれば、権利は発生しますが、支給停止になってしまいます。(障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金の支給を受ける場合も支給停止)

支給停止というのは、後からもらえるわけではなく、その部分についてはもらえないということです。

それじゃあ、手数料をかけて戸籍や住民票、さらには相手方の所得証明まで取るのは意味がないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるようですが、特別な事由がある場合、支給停止が解除されます。それは、相手方の年金が全く出ないような場合です。

例えば、相手方が、失業して雇用保険から、基本手当をもらう場合や、厚生年金に加入しながら、高い報酬をもらっていて、厚生年金が全額支給停止になっているようなときです。

また、配偶者の情報が登録されておらず、本当は支給停止になるはずの加給年金を受給していたような場合は過払いが発生し、後でかなりの金額を返還しないといけないようなケースもあります。一度もらったお金を返すのは、もうそれを使ってしまっている場合がほとんどなので、とても大変なことのようです。

加給年金は対象となっている配偶者が65歳になるとなくなってしまい、かわりに振替加算として、相手方の老齢基礎年金に相手方の生年月日に応じた加算がつきます。