最近はおかげさまで、たくさんの障害年金の手続きのご依頼をいただけるようになりました。私を信頼してお任せくださるお客様には、納得のいく結果を出してさし上げたいと常々思っているところです。
実は社会保険労務士の試験勉強を始めるまで、私も年金のことなど全然詳しいわけでもありませんでした。年金と言えば、老齢年金で、会社を定年退職するような年齢になってからもらえるものぐらいの知識しかなく、会社の総務の担当者に、年金って何年かけたらもらえるの?という質問をしたところ、「25年」と言われ、「え~っ、25年もかけないともらえないのか・・・」と思ったことを覚えています。(今年の8月から老齢年金は10年以上かけると受給できるようになりましたが・・・)
もちろん、遺族年金や障害年金のことも全く頭にありませんでした。
そのときから、20年以上経って、自分が社会保険労務士になり、委託されて年金事務所の窓口で相談にあたるようになるとは、想像すらしていませんでした。
でも、私だけでなく、世の中にはたくさん、障害年金がもらえる状態にありながら、障害年金自体あることを知らずにいる方がいらっしゃいます。
治療費や生活費の心配をせずに、治療や療養に専念したい、そんなときに頼りになるのが、障害年金です。
民間の生命保険だと、病気やケガをされたときに一時金でもらってお終いというということがたくさんありますが、年金はその状態が続いていれば、終生もらうことができます。
ただ、3つの受給要件をすべて充たしていないと、どんなに今の状態が障害の状態にあてはまっているとしても、障害年金はもらえません。
そこで、障害年金の3つの大事な受給要件を確認したいと思います。
1.初診日
障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日を初診日といい、この日に国民年金に加入していると障害基礎年金、厚生年金に加入していると障害厚生年金の受給となります。国民年金に加入していた人は60歳を過ぎていても65歳未満で日本に住所があれば障害基礎年金を受けることができます。医療機関ではカルテの保存期限が5年になっていて、それ以上前の初診日の記録は残っていないことが多いものです。
2.障害認定日
初診日から1年6か月が経過した日、または1年6か月以内にその傷病が治った日を障害認定日といいます。治った日というのは、その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態になった日を含みます。たとえば、腕を切断してしまったような場合は、もはや腕が再生するわけでもないので、切断して創面がふさがったところで障害認定日となるということです。この障害認定日に、障害等級(障害厚生年金は1級から3級、障害基礎年金は1、2級のみ)に該当する障害の状態にあることが、必要なのです。ちなみに社会保険に加入していると、1年6か月までのあいだは、ほとんどの場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。
3.保険料納付要件
初診日の前の日に、初診日のある月の前々月までに年金の加入期間がある場合、原則として20歳からその初診日の前々月までの間に、保険料を納付した期間と、保険料の免除を受けた期間があわせて3分の2以上あること。または特例として初診日のある月の前々月までの1年間のうちに保険料の未納期間がないこと(65歳未満の人)です。初診日のある月の前日の納付状況で判断するのは、公平性の観点から初診日当日に駆け込み納付ができないようになっているからです。後からその対象になる月の部分を納付したとしても、老齢年金の受給額は増えますが、障害年金の納付要件にはカウントされません。
国民年金保険料の納付が難しいような場合は、免除制度の申請をして、未納になってしまい納付要件を充たせなくなることは避けたいものです。