平成30年1月1日から、職業安定法の改正により、労働者の募集や求人の申込みのときの労働条件の明示項目が一部変更になりました。
その中の一つに、従業員を採用する際に試用期間を設けているような場合は、試用期間の有無とその期間の長さを明示するように変わっています。
試用期間はその事業所によって違うのですが、大体は、2か月から3か月というところが多いようです。もっと慎重な事業所では6か月というところもあり、法律で決まっているわけではありません。とりあえず、試用期間とする間は、有期労働契約を締結して働いてもらい、その期間に採用した人の適性を見届けてから、無期労働契約に移行するという事業所もあります。
有期労働契約が試用期間としての性質を持つ場合、試用期間となる有期労働契約期間中の労働条件を明示しなければなりません。また、試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合は、試用期間中と本採用後のそれぞれの労働条件を明示しなければならないこととなりました。
試用期間は解雇権留保付きの労働契約が成立しているという位置づけになるようです。試用期間を設ける理由は、採用した従業員がその事業所にとって適性があるかどうか見極めるためです。本採用してしまってからでは、適性がないという理由だけでの解雇はまずもって不可能となります。けれども、試用期間中の解雇や本採用の拒否も、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当であると認められなければなりません。
試用期間を設けなかったために起こるトラブルもあります。とくに、即戦力を期待して経験者を中途採用する場合などに、特例で試用期間をおかずにすぐに本採用というケースでは、新たに採用したその従業員に適性がなかったりすると、問題が発生しやすくなることもあります。試用期間を設けている場合は、その事情によっては通常の解雇よりも、自由な裁量が認められやすいという面も多少はあるようです。いずれにしても、試用期間を設ける場合は、就業規則にその期間も含めて定めておくことが必要です。