老齢厚生年金の手続きをされる人に最後に必ず、ひと声かける言葉があります。
それは、厚生年金基金(企業年金)の加入期間があるような場合は、別途手続きしてくださいねという一言です。「そっちも手続き済んでます」というお返事が多いのですが、引っ越しをされたり、ご結婚で名字が違っていたりすると、請求書が届かないケースもわりとあるようです。
公的年金はご存知のように、基礎年金と厚生年金(あるいは共済年金)の二階建てになっています。公務員だった方の年金には、さらに職域加算(いわゆる三階建て部分)がついています。民間でも、将来もらう厚生年金を少しでも多くしようということで、昭和41年から企業単位・業種の組合団体ごとに厚生年金基金(企業年金)がたくさん作られました。
ちなみに基金番号1は、デパートの高島屋さん、2は森永、3は富士写真フイルムとなっています。最終的に1966番までの基金がつくられましたが、今は、54基金しか残っていません。
厚生年金基金制度は、厚生年金の報酬比例部分を、国に代わって支給する「代行部分」とともに各基金独自の「プラスアルファ」を上乗せして支給することによって、より手厚い老後の保障をするためのものでした。
ところが、バブル崩壊、リーマンショックなどの経済状況の悪化から、掛け金の運用に失敗したり、企業の経営を圧迫したりするなどの理由により、代行返上や解散が相次ぎました。
代行返上とは
基金によっては、基金独自で支給する年金を「加算部分(プラスアルファの部分)」として、報酬比例部分に上乗せしているところがあります。このうちの報酬比例部分の年金だけを国に返すことを代行返上といいます。代行返上をすると、報酬比例部分の年金は日本年金機構から支給され、加算部分の年金は、基金から支給されます。
基金の解散
財政状況が悪化している基金は、解散やほかの企業年金へに移行が促進されることになりました。平成26年3月までに解散した基金は、企業年金連合会が支給義務を引き継いでくれていますが、平成26年4月以降に解散した基金の代行部分は、日本年金機構が支給義務を引き継いで支給されるようになっています。
基金に短期間(原則10年未満)加入し、かつ60歳未満(加入基金の規約により異なる)で退職した人(中途脱退者)の企業年金の請求先は「企業年金連合会」です。ただ、平成26年4月以降の中途脱退者からは、請求先が加入していた基金に変わりました。