3月末で事業所を退職されるという方は多いと思います。
総務担当者は、忘れずに今後の社会保険の加入方法について説明をしてあげてください。
退職した場合の健康保険の加入の選択肢は3つあります。
1.社会保険の任意継続制度を使う
事業所で入っていた健康保険制度に、退職後も任意継続して2年間加入することが出来ます。
それまでと同様の保険給付が受けられますが、傷病手当金と出産手当金は出ません。
協会けんぽの場合は、主な加入要件は次のようになっています。
資格喪失の日の前日まで継続して2カ月以上被保険者だったこと
資格喪失の日から20日以内に保険者に申し出ること
保険料は、事業主負担分がなくなるため、その人が支払っていた(給料から引かれていた)健康保険料と介護保険料の2倍になります。
ただし、保険料を決定する際の標準報酬月額は現在28万円が上限です。
そして、保険料は本人がその月の10日まで(初回は指定日)までに納付しなければなりません。
2.国民健康保険に加入する
国民健康保険に加入する場合、事業所の社会保険の喪失証明書が必要です。
もし、何らかの事情で喪失証明がないときは、退職されたのが同じ管内の事業所であれば、事業所からの資格喪失届が提出されている場合は、年金事務所で発行してもらえます。
国民健康保険料は、前年のその人の所得に応じて、保険料が決まっていきます。
また、国民健康保険制度には、被扶養者という概念がなく、一人一人が被保険者ですが、納付書などは、世帯主あてに送られて来ます。
健康保険税は、所得に応じて負担する所得割、人数に応じて負担する均等割、そして世帯に応じて負担する平等割という構成になっています。
国民健康保険では、非自発的要素が強い理由の離職者のために前年の給与所得を3割に減らして保険料を計算する軽減制度などもあります。
これは、例えばもとになる前年の給与所得が100万円だったとすると、所得を3割の30万円として健康保険料を計算する制度です。雇用保険の受給資格者証が必要になります。
各自治体によって、多少異なる点もあるかと思いますので、詳しくは各市町村に確認をお願いします。
3.家族の扶養になる
家族の扶養になることが出来れば、健康保険料がかかりません。
ただし、認定の基準があります。
協会けんぽでは、生計維持関係のある3親等内の親族であれば、被扶養者になることができます。(同一世帯になっていることが必要な場合あり)
同一世帯の場合、年収130万円未満(60歳以上は年収180万円未満)でかつ被保険者の年収の1/2未満という認定基準になっています。
雇用保険の基本手当を受給する場合、130万円を360日で割って日額3,611円を超えている場合、その基本手当を受給している間は扶養にはなることができません。
ただし、自己都合による退職で3ヵ月の給付制限を受けている間は扶養になることが出来ますので、その前後は届け出が必要です。
まとめ
前年の所得が多かったりすると、任意継続のほうが良いとか、条件に当てはまっているので再就職するまでは、扶養になろうとかいろいろな方がいます。保険料額を比較して自分に当てはまるものを選ぶと良いですね。それぞれいろいろな要件がありますので、保険者に確認してみてくださいね。任意継続したかったのに、すでに20日すぎていたという笑えない失敗も聞きます。この時期は、何事も早めの行動が大切ですね。
勘違いで多いのが、扶養になった場合、国民年金も扶養になっていると思い込んでしまうことがありますが、国民年金は、扶養となる第3号被保険者になれるのは、20歳から60歳未満の配偶者だけです。あとで、納付書がまとめて送られてきたりすると、予定外の出費になってしまったりすることもあります。また、国民年金のほうも、非自発離職者に対する免除措置などがありますので、確認してみてください。